早瀬砲台山(はやせほうだいやま)瀬戸島山(せとしまやま)古観音山(ふるかんのんやま)
 
単独 2020.02.11 
ひまねきテラスPA(6:20/29)→音戸トンネル東出口(6:47)→田原漁港前(7:44)→林道砲台山線入口(8:01)→竈神社(8:34)→林道渡子藤脇線合流(8:51)→鉄塔巡視路取付(9:06)→展望岩(9:24)→第二堡塁跡(9:35/56)→手作りの展望デッキ(10:13)→砲台観測所跡(10:18)→早瀬砲台山(10:46)→主尾根分岐(11:34/54)→342.2峰(12:06)→瀬戸島山(12:28)→古観音山(12:58)→古観音跡(13:06/26)→梵潮寺ルート分岐(13:35)→大柿線鉄塔55(13:47)→林道終点(13:53/58)→戦没者慰霊碑入口(14:07)→R487(14:16)→起点(14:31)
軌跡図
  この地図は、国土地理院の地形図を利用したものである。      歩行時間:8時間2分、歩行距離:17.9㎞

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倉橋島音戸町域の主稜線を、南から北へたどってみた。ひまねきテラスPAに車を置かせていただき、R487を西へ。歩道が右車線にしかないので、横断歩道橋を渡る。歩道橋から眺める夜明け前の景色は、とても印象的。雲ひとつない西の空に、まん丸いお月様。489mの音戸トンネルを抜けるころには、すっかり明るくなる。2月初旬というのに、ぜんぜん寒くない。

ひまねきテラスPA 横断歩道橋より(6:33)

音戸トンネル東出口(6:47)
渡子(とのこ)トンネルを抜けると、右手に三ツ子島が見えてくる。工業塩の集積所として知られるが、かつてこの島には呉海軍病院消毒所が置かれていた。道は、渡子(二)で県道35号音戸倉橋線に接続。田原漁港を過ぎて15分、流田(ながれだ)バス停の手前から、林道砲台山線が左山手に上がっている。県道の行く手には、岳浦山を背にした早瀬大橋が見える。林道を上がって7分、交差点に出合う。直進する砲台山線を捨て、右の横手道を選ぶ。山襞に沿う蛇行道を南進する。やがて、早瀬(二)の竈神社。お参りしたあと、50mほど戻り、左手のコンクリート舗装された里道(小路)に入る。

三ツ子島 渡子
(三)の県35より(7:16)

早瀬大橋 流田バス停前より(7:59)

林道砲台山線入口(8:00)

竈神社 南西の里道より(8:37)
里道は、5分ほどで尾根肩の墓所へ左折するが、まっすぐ、横手山道に取り付く。ひと上りすると、アスファルト舗装された道になり、ほどなく林道渡子藤脇(とのこふじのわき)線へ合流した。横断して主稜線に取り付けないこともないが、ここは無理をしないで林道へエスケープ。

山道取付(8:39)

林道渡子藤脇線合流(8:52)
渡子藤脇線に合流して約650m、226峰北東鞍部で鉄塔巡視路が主稜線へ取り付いている。入ると、100m先から横手に向かいはじめる。もはや、尾根筋を外すわけにはいかない。楽だった雑木尾根は、すぐイバラまじりのコシダヤブに変わる。おまけに岩稜ときた。しっかり木登りをやって大岩の上にあがると、そこは絶佳の展望台。美しい釣士田港を瞰下して、倉橋、能美の山々を眺めやる。ヤブ尾根をもうひと上りすると、第二堡塁跡の塁道に出会う。すっかり土砂で埋まり、灌木の温床になっている。

鉄塔巡視路取付(9:04)

横手に向かう鉄塔巡視路から尾根筋へ離脱(9:10)

岩稜直下のコシダヤブ(9:15)
釣士田港、火山、岳浦山など 展望岩より(9:24)

陀峯山、天狗岩など展望岩より(9:24)

第二堡塁跡の埋もれた塁道(9:41)
塁道を横切り、稜線肩に上がってみるが、子牆(ししょう)などはなく、雑木ヤブの削平地に出会っただけ。北西面の塁道に降りて北東(右)に取るとすぐ、とても明治期のものとは思えない、立派な建築物に出会う。砲側弾薬庫(砲側庫)だとすれば、この上部には速射砲、または臼砲が座っていたのかもしれない。同形の遺構がさらに2つあり、その上の稜線で子牆跡らしき構造物に出会う。この稜線に砲座があったことを確信する。塁道に戻って北東に寄ると、こんどは掩蔽(えんぺい)部らしき遺構に出会う。その前の広い平坦地で、円筒形や箱形のコンクリート構造物などを見かける。第二堡塁北の鞍部から左へ広い横手道がのびている。たどれば第一堡塁に出会えると思われるが、割愛して尾根筋の踏跡をたどる。

第二堡塁の上部(9:39)

第二堡塁跡(砲側庫)(9:44)

第二堡塁跡(砲側庫)(9:45)

第二堡塁跡(掩蔽部)(9:51)
すぐコシダの茂る雑木尾根になるが、ひと漕ぎで踏跡に再会。右に取ると、手作りの展望デッキがあり、そこで踏跡は終わる。たき火場や丸竹のベンチなどが添えられて、まるで「山好きの秘密基地」のようなところだ。デッキには、奥の内港を瞰下して、その沖に情島、その右に火山連山、という眺めがある。ひょっとしたら、プライベートエリアに無断で立ち入ったのかもしれない。

手作りの展望デッキ(10:15)

火山 展望デッキより(10:14)
早々に後戻りして尾根筋の踏跡を北にたどると、40mも行かないうちに砲台観測所跡の上に出た。コンクリート製の円形凹地の真ん中にヤマザクラが育っている。北側が開放されて左(西)に階段があり、観測所の下は掩蔽部になっている。ここからも、左(北西)横手に第一堡塁への道がのびている。北側の尾根筋へ上り返すと、先の堡塁に比べて造りが雑な円形石積に出会う。通路の天板が崩れ落ちたのや竈のようなレンガ積み、そして円形の凹地なども見かける。75年前、この地に探照灯があったというから、その遺構なのかもしれない。

砲台観測所跡(10:20)

砲台観測所跡の上部(10:18)

砲台観測所跡の北にある遺構(10:22)

砲台観測所跡の北にある遺構(10:26)
円形の凹地で踏跡に出合う。西面にテープがあり、たどれば第一堡塁を経て林道に出ると思われる。円形凹地から北に約100mのところで、赤テープを垂らした横木ゲートに出会う。「これより止め山、進入禁止」の強い意思表示がうかがえる。してみると、展望デッキは山主さんのもの。無断で立ち入ったこと、改めてお詫び申し上げます。ゲートの北側には、快適な稜線漫歩の道が待っていた。大正15年8月と刻まれた呉要塞地帯標に出会い、次いで奥の内港、情島などが一望できる展望地、そして岩稜のピークが早瀬砲台山。砲台山のてっぺんは、西面に展望があり、宇根山、大黒上島、陀峯山などが同定できる。

第二堡塁跡方面尾根への進入禁止ゲート(10:30)

呉要塞地帯標(10:35)

奥の内港、情島など 展望地より(10:39)

早瀬砲台山山頂(10:47)
素敵な岩稜帯はさらに200mばかり続き、展望岩2つに出会う。はじめの展望岩で休山、灰ヶ峰、野呂山を、次の展望岩で江田島市の山々とこれから向かう瀬戸島山を眺めやる。2つ目の展望岩の北側に下降ルートなし。フリーでこわごわ降りたが、東面を巻き下るのが賢明である。

休山など 展望岩(砲台山の北約80m)より(10:54)

展望岩(砲台山の北約200m)(10:57)

宇根山など 展望岩(砲台山の北約200m)より(10:59)

古鷹山など 展望岩(砲台山の北約200m)より(11:02)
瀬戸島山 展望岩(砲台山の北約200m)より(11:02)
展望岩(砲台山の北約200m)の北端(11:08)
マツ雑木林の尾根道は、多少コシダが茂るところもあるが明瞭。次のピーク(GPS標高314)で、呉要塞地帯標に出会う。ここで主尾根は、頂稜の北端から北東へ向かうのに、まっすぐ行ってちょっこし迷走。左手に林道が見え隠れする主尾根の道を北進すると、やがて342.2峰に達す。北峰と瀬戸島山の鞍部は、深く掘り下げられ、林道渡子藤脇線が通っている。なので尾根筋ルートは、東面を巻き下って林道へ降り、峠の東から瀬戸島山に取り付くことになる。ちなみに、峠は南側が先の豪雨(18.7)で大きく崩れているため、小型車でもギリピン状態。峠から3分ひと上りで、瀬戸島山の山頂。展望はなく、三鬼大明神が祀られている。

主尾根分岐(11:34)

342.2峰山頂(12:16)

324.2峰から瀬戸島山への林道横断(12:22)

瀬戸島山山頂(12:28)
瀬戸島山からの下りは、シダの被さるところもあるが明瞭な山道。15分で鞍部の林道に出て、向いの尾根へ上り返す。約200mで展望岩に出会う。東面に安芸灘大橋や蒲刈島、西面に古鷹山や三ツ子島など、見飽きることのない眺めが広がっている。展望岩の北東約250mの岩稜で、古観音山の山名札を見る。GPS標高によると、展望岩のある岩稜のほうが勝っている。しかも、地形図に示された246標高点は、展望岩の北側という有様。山名札を見てすぐ、また展望岩に出会う。見晴しは、先の展望岩に比べてちょっと劣るが、平坦岩が多く、昼食場所には悪くない。

瀬戸島山から古観音山への林道横断(12:46)

古観音山南西尾根の展望岩(12:50)

安芸灘大橋、蒲刈島など 展望岩より(12:51)

古鷹山、三ツ子島など 展望岩より(12:52)

古観音山山名札(12:58)

古観音山山名札地点北側の展望岩(13:00)
昼食場所にお勧めの展望岩から約250m、また似たような展望地に出会う。古観音跡である。岩の上にあがって、音戸の瀬戸や南隠渡の町並みに親しんでいると、岩間に宝形を見つける。露盤と伏鉢だけで、宝珠は失われている。かつての観音堂跡に残った宝形を祀ったもので、その大きさから立派なお堂だったことがうかがえる。古観音跡から300mばかり下ったところで、尾根は分岐する。右尾根の梵潮寺ルートのほうがよく踏まれている。この際、できるだけ主稜線をたどりたいので、左尾根の道を選ぶ。

古観音跡(13:06)

古観音お堂の宝形(13:07)

休山など 古観音跡より(13:09)

梵潮寺ルート分岐(13:35)
左尾根の道もしっかりしており、166峰を過ぎると鉄塔巡視路になって、大柿線鉄塔55に出会う。見晴しはない。鉄塔の先で主尾根はバカ尾根になって北に向かうが、北東に流れる支尾根の道を下る。約80m下ったあたりから、円形凹地や石積を見かける。75年前、一帯には防空砲台が築かれていたというから、その遺構の一部なのかもしれない。尾根筋に道が続くが、北面に現れた林道終点へ降りる。

大柿線鉄塔55(13:47)

林道終点(13:53)
ほどなく里道に合流して、主稜線に沿うようになる。音戸町戦没者慰霊碑(廣智院)入口の先で、R487への短縮歩道に入る。苦もなくR487の歩道に降りた。そこは、音戸トンネル東出口まで80mの地点。左に取り、ゆる坂を上っていくと、休山を背にしたひまねきテラスが見えてきた。起点まであと少し。

音戸町戦没者慰霊碑(廣智院)入口(14:07)

短縮里道分岐(14:12)

R487合流(14:16)

ひまねきテラス、休山など R487より(14:25)