源明山(げんめいざん)嘉納山(かのうざん)文殊山(もんじゅやま)嵩山(だけさん)
 
単独 2019.01.14 
周防大島町笛吹峠(7:05/17)→保慶の七不思議入口(7:24)→湯の段(7:36)→保慶岩屋観音(8:09)→源明峠ルート合流(8:36)→源明山(8:43/58)→旧源明峠(9:05)→展望ピーク(9:21)→嘉納山(9:53)→四境の役土塁説明板(10:24)→文殊山(10:33/39)→嘉納山(11:08)→旧軍遺構(11:14)→休憩所(11:26)→嘉納山歩道取付(11:53/57)→長寿の森ふれあい坂入口(12:00)→嶽山(12:23/51)→東屋(12:53)→展望テラス(12:55)→岩屋権現(13:35)→廃屋(13:59)→オレンジロード(14:15)→源明分岐(14:49)→京ヶ迫トンネル東出口(15:09)→家房トンネル東出口(15:39)→起点(15:52)

軌跡図
                                                            所要時間:8時間35分、歩行距離:21.9㎞

 この地図は、国土地理院の地形図を使用したものである。

アルバム
周防大島の瀬戸内アルプス四座めぐり。笛吹峠(県103)の非常駐車帯に車を駐める。北に下り、保慶の七不思議入口から取り付く。

笛吹峠の非常駐車帯(7:17)

保慶の七不思議入口(7:24)
谷の右岸に荒れた径が続き、早々に「馬の足跡」「飛び石」の札を見る。馬の足跡は、岩に蹄の跡があるらしいが、落ち葉で何処だかよく分からない。飛び石は、対岸に飛び越えて猪の難を逃れたという懸崖岩。大したものではない。径は露岩床の谷を渡って左岸へ移る。水はチョロチョロ。右岸にスラブ岩壁を見る。谷はゴーロになって、「せり岩」「風穴」「湯の段」への径が右岸に分かれている。寄ってみると、右岸斜面に見どころは固まっていた。せり岩は、呼名どおりの山の斜面にせりだした大岩、風穴は岩塊の隙間、湯の段はゴーロの支沢。「湯の段」の湯は、下着を洗ったため温泉の神様が道後へ移転したという。分岐に戻って、左岸の径を上る。

せり岩(7:35)

湯の段(7:36)
左岸の斜面を40mばかり高度を上げたあと、横手に転じて山襞に沿って上っていく。要所にはロープが張られるなど、手入れされている。保慶の岩屋観音は、スギ林の支谷を渡ってひと上りしたところにあった。突然現れた明るい聖地に、心が震える。七体の観音様にお参りして、左手の径を上らせてもらう。すぐ尾根筋になり、しまいは岩稜を巻き巻き上がって、源明峠ルートに合流した。広くてよく踏まれた道をひと上りすすると、見慣れた源明山の頂。西側の展望岩に上がり、四周の景色を見晴るかす。うーん、すばらしい。

保慶岩屋観音(8:09)

源明峠ルート合流点(8:36)

源明山山頂(8:43)

頂海山 源明山山頂より(8:49)
源明山から嘉納山までは、稜線のハイキングルート。旧源明峠は、四境(しきょう)の役大島口の戦いの決戦場の一つ。慶応二年(1866)6月11日、安下庄(あげのしょう)に上陸した松山藩軍は、16日笛吹峠、源明峠、三ツ石にて長州軍と戦い、退却した。この峠を上り返した最初のピークは、絶佳の展望地。行く手に嘉納山、右手に嵩山や瀬戸のしまなみが広がっている。

旧源明峠(9:05)

展望ピーク(9:21)
源明山から約55分、嘉納山の山頂に着く。山頂には、旧軍の特設見張所(電波探信儀)の跡と思われる正八角形のコンクリート基礎が残っており、ちょうどよい休憩ベンチになっている。南西に馬の背、北東に久賀港、その彼方に柱島が霞んでいる。

嘉納山山頂(9:53)

馬の背、皇座山など 嘉納山山頂より(9:57)
北西頂稜に三角点を見て文殊山へ。尾根ルートではあるが、東面横手に行くところが多い。嘉納山山頂から20分ばかりの尾根乗越で、四境の役で構築されたという土塁に出会う。150年余の歳月を経て、もはや防壁の姿はない。嘉納山から文殊山まで約40分。広い山頂には、数組の先行者がくつろいで居られた。展望台に上って、琴石山、頂海山、馬の背、源明山、嘉納山、嵩山などを同定。あいにく遠くは霞んでいる。

文殊山山頂(10:39)

飯ノ山、琴石山など 文殊山山頂より(10:38)
嘉納山に戻り、第六管区海上保安本部(六管)嘉納山第二送信所を右に見て、東尾根の歩道を下る。ほどなく、旧軍遺構(貯水槽?)と集塊岩(三ツ石)に出会う。仰ぎ見るような集塊岩壁、休憩東屋と続いて、鞍部に降りる。畑能庄(はたのうしょう)からの林道が乗り越しており、歩道は横切って尾根筋に続く。すぐのピークに六管嘉納山第一送信所があり、その100m先にコンクリート造りの休憩所がある。

集塊岩(三ツ石)と旧軍遺構(11:14)

休憩所(11:26)
樹脂丸太の急な階段が、これでもかと現れて高度を下げていき、町道に合流する。東に約170mたどると、嵩山森林公園のエリアになって、左に長寿の森遊歩道「ふれあい坂」が分かれる。取り付いて12分、県道101号嵩山久賀港線に合流してさらに10分、ようやく四座目の嵩山山頂に着いた。ドライブ観光の人たちで、けっこうにぎわっている。展望台の1階休憩室でバナナ弁当を食べていると、その中の男性二人連れに、ミカンをいただく。ふつうのミカンだけれど、渇いた喉にはなんとも美味。源明山、嘉納山を眺めやって、展望テラスのある「見返り坂」の歩道へ下る。

嘉納山歩道入口(11:53)
長寿の森ふれあい坂入口(12:00)

嵩山山頂のKRY中継局と展望台(12:23)

嘉納山 嵩山山頂より(12:25)
よく踏まれた広い歩道が続いて、ほどなく、展望テラスに出る。嵩山の南東面標高約570mにつくられた、それは素敵な展望台である。眼前に開ける多島海景観は、「すばらしい」の一言に尽きる。

嵩山山頂の展望テラス取付(12:51)
嵩山見返り坂の東屋(12:53)

展望テラス(12:55)

日良居港 展望テラスより(12:57)
道は、展望テラスからジッグザッグに約360m、約12分下ったところで左右に分かれる。右は、ふれあい坂の入口に至る、と思う。で、この際左の道を選ぶ。30mばかり高度を下げたあと、水平歩道になって約570m、岩屋権現に出会う。途中、何か所か上から歩道が合流していた。苔むした集塊岩の岩壁岩屋そのものがご本尊で、その前に四本の大杉が四天王のように寄り添っている。きれいに掃き清められ、とても荘厳な雰囲気だ。岩屋の中に祀られているのは、虚空蔵菩薩と山王権現だとか。正月三が日に、ここの火で餅を焼いて食べるとその年は無病息災と云われるなど、地元の信仰は厚い。

見返り坂の階段歩道(13:01)

権現岩屋(13:35)
歩道は岩屋権現から北に向かっており、たどれば県道101に出る、と思う。この際、東に下る石の参道に入ってみる。石段はすぐ終わり、踏跡らしきものも途絶える。典型的なトロイデのこの山の東面に、明瞭な尾根などあるはずもなく、地理院地図の破線径を目指して下る。スギ林床の下生えは薄いが、幾重にも重なる棚地の石垣に難儀する。ようやく破線径らしい踏跡を見つけて南に向かう。ほどなく廃屋に出会って里道が現れ、15分ほどでオレンジロード(広域農道)に合流した。

廃屋(13:59)

オレンジロード合流点(14:14)
オレンジロードを西に向かう。宮川右岸に回り込んだところで、取り入れたばかりのミカンを一ついただく。すっごく美味しい。きっと「ゆめほっぺ」に違いない。すっかり甦って、長ーい車道歩きを再開。当初、源明峠越えのつもりであったが、とてもその元気はなく、オレンジロードをひたすら歩く。塩宇(しおう)のオレンジロード合流から、約7㌔、1時間38分の道のり。起点に還ったのは16時前という有様。

嵩山 安下庄のオレンジロードより(14:44)
源明分岐(14:49)

京ヶ迫トンネル東出口(15:09)

笛吹峠(15:51)