三段峡本流左俣(さんだんきょうほんりゅうひだりまた)奥三段峡(おくさんだんきょう)・イキイシ谷
 
単独 2016.09.24 
餅ノ木峠南の田代分岐(7:23/39)→田代大橋北詰(7:44)→出合橋(8:09)→二段滝落口(8:20)→猿飛渡船場(8:46)→二段滝(9:07/43)→広淵(10:00)→出合橋(10:40)→田代橋(11:06)→奥三段峡入口(11:14)→イキイシ谷出合(11:18)→奥三段峡蜘蛛淵・F1(11:25)→F1落口(11:48/12:11)→F2(12:19)→F3(12:26)→F4(12:29)→F5(12:36)→F6(12:41)→畳が平(12:44)→蛇淵(12:53)→F7(12:55)→F8(13:03)→F9(13:06)→F10(13:12)→お岩淵(13:37)→F11落口(13:41)→砂防堰堤天端(13:44)→中之甲林道(13:53)→出合のキビレ(14:26)→イキイシ谷入渓(14:49)→F6(15:07)→F5(15:09)→F4(15:11)→F3(15:34)→F2(15:42)→イキイシ谷出合(15:47)→奥三段峡入口(15:51)→起点(15:57)
アルバム

餅ノ木峠南の田代分岐(7:39)

田代大橋北詰(7:45)

出合橋南詰の三段峡遊歩道入口(8:08)

三段峡猿飛渡船場(8:46)
貴重な晴れマーク予報。C.C.INA★PINAさんの遡行記録(2016年9月19日http://blogs.yahoo.co.jp/hirschwies/65644874.html)に触発されて、三段峡二段の滝と奥三段峡を訪れた。餅ノ木峠南の田代分岐に車を駐める。天気は、気温15℃の曇り空。広域林道深三恐ラインをたどる。田代大橋北詰で右斜面に下り、旧道へ短縮。起点から三段峡遊歩道入口(出合橋南詰)まで約30分を要す。遊歩道をたどって猿飛渡船場へ。5日前の大水はすっかり引いているが、渇水期に比べれば威勢がよい。途中、二段滝落口に降りて下見をする。滝面は平素より広がって勢いよく落ちている。左岸壁をシャワークライミングで落口へ抜けるのは、大変そう。この際、枯倒木に支点を取り、左岸端のチムニーにトップロープをセット。遊歩道に戻って猿飛渡船場に至る。さいわい、営業開始前で船頭さんはいない。急いで淵の中へ。

猿飛の淵(8:57)

二段滝(9:08)

二段滝左岸壁(9:19)

二段滝左岸端のチムニー(9:20)
穏やかになった流れをフーフー言いながら、泳ぐ、泳ぐ。途中のくびれで大休みを入れるなどして、どうにか滝の対岸にたどり着く。70m、13分の道のりだ。鹿野さんたちの果敢なアタックと泳力に思いを馳せながら、瀑布となって落ちる二段滝をしばし眺める。この滝は、1988年の豪雨で一段目が崩壊して直瀑となったのちも、二段滝と呼ばれている。渡船場のほうから咳払いが聞こえてきたので、あわてて二段滝への行動を開始する。左岸伝いに必死で泳ぎ、ようやくチムニー下のテラスに上がる。左岸壁は下から見ても、僕には難しそう。次の機会までお預けにして、チムニーを登ることにする。こっちは、ホールド、スタンスともにあって、思いのほか容易に抜けることができた。

広淵(10:00)

鵜の子(10:24)

横川川と田代川の出合(10:36)

奥三段峡入口の淵(11:21)
核心部を無事終えると、急に寒さを感じて震えだす。お日様は射し始めているが、あまり効果はない。なので、80m上流で出合ったゴルジュ淵は左岸を巻き、その100m上流の広淵も右岸壁を巻き上がる有様。水はどこまでも美しいが、とても泳ぐ気にはなれない。続く鵜の子の瀬は、左岸を登って遊歩道に上がり、30m上流で再入渓。あとは平凡な河原が続いて、横川(よこごう)川と田代川の出合になる。右の田代川に入るが、すぐ深みが始まる。たまらず、道路に上がって奥三段峡に向かう。足下の渓流に小滝や淵が見えるが、大きな滝はない。田代橋を約300m過ぎたところで、奥三段峡への道が田代川左岸沿いに分かれる。道路は右に大きくカーブして横手に上がり、深三恐ラインに合流する。田代川左岸の道は、イキイシ谷が出合う手前で終わり、山道がイキイシ谷と奥三段峡の左岸に続いている。イキイシ谷の出合から奥三段峡に入渓。すぐゴルジュ淵になるが、泳ぎはパス。左岸の山道に巻き上がり、F1の大釜、蜘蛛淵の尻に降りた。なお、「リュックかついで(中国新聞社)」や「旅鳥(広島修道大学WV部編)」では、この淵は瀞淵(とろふち)とあり、F2の釜が蜘蛛淵になっている。そして、桑原先生の「西中国山地」に瀞淵の名称はない。うーむ。

奥三段峡蜘蛛淵とF1右岸(11:26)

F1右岸(11:28)

F1右岸(11:37)

F1左岸(11:27)
右岸の大岩から眺めるF1直下の流れは、ゆるくは見えない。〈飛び込んで左岸ルンゼにたどり着けたとしても、直登ラインに取り付くのは無理じゃあなかろうか。この際、鹿野ルートしかあるまい…。〉泳ぎたくないので、すぐそういう思考回路になる。で、右岸壁のラインにアタックしてみた。これがとても面白く、達成感に浸って落口に立つ。鹿野さんに感謝、感謝である。区切りが良いので昼食にするが、寒いので早々に遡行を再開する。

F2(12:19)

F3(12:25)

F4(12:29)

F5(12:36)

F6(12:41)

畳が平(12:45)
渓は右に大きく曲がって、大釜をもつF2が姿を見せる。平素なら泳いで直登するところだが、右岸をへつる。F3は、左岸をへつって滝面の右側岩稜を登る。二段斜小滝F4は、右側の分岐水流を登る。F3、F4は、平素だとカウントするには憚るような滝だ。F5は、雲岩と呼ばれる大ゴーロの間を縫って落ちる二段滝。直登すれば愉快と思われるが、水が多いので右岸を登る。少し遡ると、右岸が懸崖になって、釜をもつ二条滝F6に出合う。ここが松尾の瀬か。右側の細い水流を登る。上には畳が平(たたみがなる)と呼ばれる素敵な景観が広がっている。右岸は柱状節理の障壁、左岸は明るい渓畔林、その間にナメの岩床を伝う清流がある。うーん、美しい。

蛇淵(12:53)

F7(12:55)

F8(13:04)

F9(13:06)

F10(13:12)

お岩淵とF11(11:37)
両岸が明るい渓畔林になって少し遡ると、蛇淵が現れる。細長い紺瑠璃色のゴルジュ淵は、静かで神秘的。というより、左岸の赤い障壁とマッチして気味が悪い。右岸をへつっていくと、奥にF7が架かっている。大釜に落ちるF7の右岸は柱状節理で、左側のコンタクトラインを登るのは容易。少し遡ったところに、多段ゴーロ滝F8、段状滝F9が連続する。いずれも斜めの小滝で、この際、水流を登る。170m上流のF10は、へつるのが面倒になって右岸を巻く。しばらく平凡な河原が続いて、ようやくお岩淵が姿を現す。これで最後だというのに、軟弱にも左岸に上がる。ゴルジュ中ほどで水線まで降りて、右岸ラインをアイコンタクト。

赤川出合のダム湖 砂防堰堤天端より(13:44)

出合のキビレ(中之甲林道)(14:26)

イキイシ谷入渓点(14:49)

イキイシ谷F6(15:07)

F5(15:09)

F4(15:11)
砂防ダム堰堤の天端に上がって、ピンソールを付ける。堰堤内側のダム湖の景色や、お岩淵へ落ち込む瀬を眺めながら、小休止。中之甲林道に出て右に取り、聖湖方面へ向かう。当初、十文字峠からイキイシ谷へ下る予定だったが、出合のキビレで既に14時26分という有様。この際、965.6m峰の北面をトラバースしてイキイシ谷に出る山道に短縮。道は倒木などで荒れているが、刈り払われて明瞭。とりわけ、北東尾根から先はよく手入れされており、難なくイキイシ谷に降りた。谷に沿う山道を捨てて入渓。上流は平坦な河原で、奥はヤブになっている。水はとてもきれい。約230m下降する間に11条の小滝に出合い、すぐ下に露岩滝F6、F5、トユ状滝F4が続く。

F3(15:34)

F2(15:42)

F1 左岸の山道より(15:43)

イキイシ谷左岸道と奥三段峡遊歩道の合流点(15:47)

奥三段峡へのイキイシ谷出合(15:47)

車道(旧道)から奥三段峡への入口(15:51)
その下にも小滝が3条ばかりあり、少し間をおいて露岩滝F3に出合う。F3から260mばかり下ったところに3条の分岐滝F2が架かる。出合ったいずれの滝も簡単に越せる滝で、登攀意欲をそそるようなものはない。もう充分ということで、谷に沿う山道に上がると、すぐ下にF1が見えた。これも露岩の分岐滝で大滝ではない。アイコンタクトして山道を下ると、ほどなくイキイシ谷出合の三叉路に出た。出合のキビレからの山道は、奥三段峡溯行の帰還ルートとして使えそうだ。道路に出て起点に還ったのは16時前。少しは鹿野さんたちに近づけたのだろうか。



軌跡図
                                                   所要時間:7時間59分、歩行距離:15.3㎞