剱岳・三ノ窓・小窓・仙人池・阿曾原 |
単独 2012.08.28-30 |
8/28 ☀ 室堂(13:30/37)→雷鳥平(14:05)→別山乗越(15:06/11)→剱沢小屋(15:45) 8/29 ☀/☁/☂ 剱沢小屋(4:21)→剣山荘(4:40)→一服剣(5:01)→前剣(5:36)→平蔵のコル(5:58)→剱岳(6:27/38)→長次郎のコル(6:52)→池ノ谷乗越(7:25)→三ノ窓(7:52)→小窓(9:22/34)→池ノ平小屋(11:16)→仙人峠(11:30/48)→仙人池ヒュッテ(11:57) 8/30 ☀/☂ 仙人池ヒュッテ(5:20)→仙人温泉(6:27)→1629m峰(6:52)→仙人ダム堰堤(8:14)→阿曾原温泉小屋(9:08)→阿曾原谷(9:08)→折尾谷(10:27)→大太鼓(11:08)→志合谷トンネル(11:21)→欅平(13:00/31)⇒宇奈月温泉(14:48)→フィール宇奈月 |
8/28 今回の遠征山行は、剱岳北方稜線。のぞみ、サンダーバードと乗り継いで、13時に室堂ターミナルに着く。広場に上がると、天気は好晴。多くの観光客で賑わっている。ミクリガ池西側の周遊路を辿り、みくりが池温泉、エンマ台を経て雷鳥荘の前に出る。左に地獄谷を見て、石段の急坂を雷鳥平へ下る。昼下がりのキャンプ場は閑散としている。浄土沢を渡って左に折れ、その先で新室堂乗越への道を捨て、右の雷鳥坂の道に取り付く。ガレた沢筋から尾根に上がって、つづらに折れて急登する。取付から1時間で別山乗越に達するが、もうヘロヘロで、ペットボトル500mlを一気に飲み干す。一息いれて剱沢に下る。別山分岐を過ぎると、カラフルなテント場や剱沢小屋、そして大きな剱岳がいよいよ近くなる。旧剱沢小屋の跡に立って剱岳を眺めるが、あいにく東大谷側から雲が湧いて別山尾根の核心部を蔽いはじめる。予定よりずいぶん早く剱沢小屋に入ることができ、調子は悪くない。受付で明日の日程を告げると、手持ちの装備を詳しく聞かれ、ビバーク覚悟で慎重に行動するよう、さんざん諭される。 8/29 4時20分に剱沢小屋を出発。剣山荘を玄関からのぞくと、中は明々として、まるでホテルのよう。何でもトイレは水洗で、トイレットペーパーを入れる箱がないという。一服剱に上がるころには、かなり明るくなる。鹿島槍や五竜の山容が朝焼けの空に際立って、それは美しい。剣山荘から前剱まで1時間15分を要す。行く手に剱岳、左に富山湾、右に後立山連峰、そして振り返れば剱沢と、四周に絶景が広がる。前剱ノ門の手前で若者パーティーに追いつく。鉄橋や岩峰のクサリ場を、奇声をあげて楽しそうに通過するのはよいが、遅いので先に行かせてもらう。平蔵のコルへの下りやカニのタテバイなど、別山尾根の核心部は待つこともなく、容易に剱岳の頂上に達する。東側に「北方稜線、この先キケン」のプレートが設置してある。スリングやハーネス、ヘルメットなどをつけて北東尾根の踏跡を辿る。長次郎の頭(ずこ)や八ッ峰(やつみね)の頭など、これから進む岩峰が見えてくる。長次郎谷側の急なガレ場を下って長次郎のコルに降りる。再び長次郎谷側のガレ場に入り、右上するバンドを繋いで長次郎の頭を巻く。続く岩峰をトラバースして、主稜線に上り返す。ハイマツ帯を下っていくと、目の前にチンネの頭、三ノ窓の頭、八ッ峰の頭などの連なりが広がる。急峻なルンゼを下って、池ノ谷乗越(いけのたんのっこし)に降り立つ。グズグズの池ノ谷ガリーを下り、右手のジャンダルム基部をたどって三ノ窓に出る。池ノ谷側に少し下り、小窓ノ王南壁下のバンドから稜線に上がる。少し下って、小窓谷源頭部をトラバースする。途中に小さな雪渓が二ヶ所あり、アイゼン、ピッケルを使用。ハイマツ帯の北東尾根を急下降して小窓に降りる。この折、踏跡の真ん中に大きなクマのウンコを見る。小窓雪渓を下って左岸に旧鉱山道の取付を見つけたときは、思わず「あったー」の声が出る。対岸の三ノ窓尾根から大きな滝が落ちている。池ノ平への乗越で展望台に寄り道する。ここに立たないと叶わない、平の池湿原やモンローの舌と呼ばれる裏剱の眺めを堪能する。池ノ平小屋のお風呂は最高らしい。仙人峠で後続の単独行の方と話がはずみ、大休みする。仙人池ヒュッテに着くと、まだ昼前というのに温かく迎えてくださり、お茶の接待まで受ける。 8/30 明けると、昨晩の雨はどうにか上がっている。仙人池から裏剱を眺めやるが、あいにく八ッ峰の一部に雲が湧いている。志鷹さん親子に見送られて5時20分にヒュッテを出る。雨露に濡れるというのでレインウエアのパンツをはいたが、大したことはなく、沢に降りたところで脱ぐ。沢沿いに30分も下ると、雪渓が現れる。ロープがあるのでアイゼンなしで下降を試みるが、スプーンカットのツルツル雪面に立往生する。這う這うの体で雪渓から脱出し、アイゼンを付けてやり直す。沢沿いにしばらく下り、尾根を越したところからトラバース気味に下っていくと、仙人温泉小屋がある。ランプの露天風呂があり、欅平まで下山する人のために、4時から朝食を提供しているという。うーむ、一度泊まってみたい宿である。南に転じて仙人谷を渡ると、上のガレ場から仙人温泉の源泉が湯煙をあげている。ここが雲切新道の取付で、少し上がると対岸の仙人温泉小屋の様子がよく分かる。やがて1629m峰に達する。少し東に下ると、後立山連峰がよく見える。間もなく鉄梯子のかかる急坂となり、ずんずん高度を下げていくと、黒部の河床が見えてくる。雲切谷の大滝を右後ろに見て北に転じ、トラバース道に入る。15分で仙人谷に降りる。左岸に渡り、横手道をたどって仙人谷の出合いに出ると、足下の本流では底まで碧く透きとおったダム湖がはじまっている。こんな美しい貯水池は、そうあるまい。鉄梯子を登って堰堤に上がる。管理所の建物に入り、旧日電歩道のトンネルを通って人見平宿舎の手前に出る。トンネルの中は時おり枝道から熱風が噴き出して、吉村昭の「高熱隧道」を髣髴させる。ひと汗かいて水平歩道に上がり、これを辿って行くと、ほどなく阿曾原温泉小屋に着いた。下のキャンプ場に「露天風呂下り5~10分」の標識がある。阿曾原谷を渡ると、再び急坂がはじまる。水平歩道までの上り返しは楽でない。水平歩道は右側が切れ落ちた断崖道となり、いよいよ核心部である。大きな滝の下を通り、折尾谷をトンネルで通過する。山の鼻を回ってしばらく行くと、大太鼓と呼ばれる断崖をコの字に削り取った展望地に出る。奥鐘山の西壁が素晴らしい。雪渓が残る志合谷には150mのトンネルがある。水が流れてとても歩きにくい。長い断崖道はようやく尾根道に変わり、二つ目の送電線鉄塔を東に転じて欅平に降りる。おてんとうさまに感謝! |
室堂・中部国立公園「立山」の石碑(8/28 13:37) |
ミクリガ池と立山三山(13:45) |
雷鳥荘(13:57) |
雷鳥平 雷鳥荘より(13:56) |
剱御前小舎・別山乗越(15:06) |
剱沢 別山乗越より(15:11) |
剱沢キャンプ場 別山南峰北面より(15:28) |
剱岳 別山南峰北面より(15:28) |
剱沢小屋&剣山荘 旧剱沢小屋跡より(15:37) |
剱沢小屋(15:45) |
鹿島槍ヶ岳 前剱ノ門より(8/29 5:06) |
前剱頂上(5:36) |
カニのタテバイ(6:07) |
剱岳頂上(6:27) |
左からチンネ、三ノ窓の頭、八ッ峰の頭(7:13) |
小窓ノ王南壁下のバンド(8:01) |
池ノ谷ガリー 小窓ノ王南壁のバンド上より(8:12) |
小窓雪渓 小窓より(9:34) |
平の池 旧鉱山道乗越の展望台より(10:45) |
三ノ窓尾根から流れ落ちる滝 展望台より(10:45) |
池ノ平小屋(11:05) |
仙人池ヒュッテ 仙人峠より(11:50) |
八ッ峰鋭鋒群 仙人池より(8/30 5:15) |
仙人池ヒュッテ(5:19) |
仙人池雪渓(6:02) |
仙人温泉小屋(6:27) |
雲切新道の急坂にかかる鉄梯子(7:03) |
仙人谷(7:59) |
仙人谷ダム(8:12) |
阿曾原温泉小屋(9:04) |
折尾谷南の滝(10:17) |
大太鼓展望台(11:08) |
志合谷(11:20) |
志合谷右岸の水平歩道 志合谷左岸より(11:30) |
軌跡図 |
8月28日 所要時間:2時間07分、歩行距離:5.41㎞ |
8月29日 所要時間:7時間36分、歩行距離:10.2㎞ |
8月30日 所要時間:7時間40分、歩行距離:19.8㎞ |
出会った草花など | ||
イワツメクサ(岩爪草) ナデシコ科 |
ミヤマリンドウ(深山竜胆) リンドウ科 |
ウサギギク(兎菊) キク科 |
ヨツバシオガマ(四葉塩釜) ゴマノハグサ科 |
チシマギキョウ(千島桔梗) キキョウ科 |
ウメバチソウ(梅鉢草) ユキノシタ科 |
クロトウヒレン(黒唐飛簾) キク科 |
ヤチトリカブト(谷地鳥兜) キンポウゲ科 |
ハクサンフウロ(白山風露) フウロソウ科 |
シモツケソウ(下野草) バラ科 |
タテヤマウツボグサ(立山靫草) シソ科 |
カライトソウ(唐糸草) バラ科 |
オヤマリンドウ(御山竜胆) リンドウ科 |
モミジカラマツ(紅葉唐松) キンポウゲ科 |
サンカヨウ(山荷葉) メギ科 |
オオレイジンソウ(大伶人草) キンポウゲ科 |
タカネニガナ(高嶺苦菜) キク科 |
クルマユリ(車百合) ユリ科 |
イワショウブ(岩菖蒲) ユリ科 |
キンコウカ(金黄花) ユリ科 |
ミヤマキンポウゲ(金鳳花) キンポウゲ科 |
クガイソウ(九蓋草) ゴマノハグサ科 |
ソバナ(岨菜) キキョウ科 |
マツムシソウ(松虫草) マツムシソウ科 |
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