剣山・三嶺 |
単独 2010.05.05-07 |
5/5 ☀ ラフォーレつるぎ山(10:51/11:20)→見ノ越(11:50)→西島駅(12:37)→刀掛の松(12:50)→三十五社(13:02)→穴吹川源流域(13:07)→殉難碑(13:29)→一の森(13:37/50)→剣山(14:30)→剣山頂上ヒュッテ(15:06) 5/6 ☂|☁ 剣山頂上ヒュッテ(4:50)→剣山(4:57)→次郎岌(5:27)→スーパー林道分岐(5:49)→丸石(6:04)→丸石避難小屋(6:24)→奥祖谷かずら橋分岐(6:27)→高の瀬(7:01)→石立山分岐(7:22)→1723m峰(7:40)→平和丸(8:01)→白髭避難小屋(8:21)→白髭山分岐(8:40)→カヤハゲ(東熊山)(9:08)→三嶺(9:52)→三嶺避難小屋(10:02/32)→ダケモミの丘分岐標識(11:07)→平尾谷登山口(11:44)→名頃駐車場(12:25)→名頃バス停(12:30)→奥祖谷かずら橋(13:12/50)⇒見ノ越(14:08/18)→ラフォーレつるぎ山(14:50) 5/7 ☂/☁ ラフォーレつるぎ山(7:45)⇒桑平堂のスギ&桑平のトチ(8:19/23)⇒葛籠のヒノキ(8:35)⇒河内堂のイチョウ(8:49)⇒地蔵森のカゴノキ(8:58)⇒木地屋集落⇒道の駅「貞光ゆうゆう館」(10:05) |
ラフォーレつるぎさん(5/5 11:20) |
剣神社・剣大権現(11:54) |
ナビに惑わされ、川之江JCT経由で貞光に至る。貞光からの道程も思いのほか遠く、予定より40分遅れて「ラフォーレつるぎさん」に到着。少し早いが、玄関横の野外卓で昼食にした。車を置かせてもらい、R438を辿って見ノ越に降りる。ここが剣山への登山口で、参道を上って剣神社にお参りし、右手の簡易宿泊所の前から取り付く。剣神社の祭神は安徳天皇、大山祇命、素盞嗚命で、創立は不詳。 | |
刀掛の松(12:50) |
三十五社(13:02) |
リフトの西島駅を過ぎて10分もすると刀掛の松に出合う。刀掛けの形をした枯木のことらしいが、安徳天皇の刀を掛けたという伝承もある。休憩処になって上手に2宇の小さな祠がある。ここから山頂と行場への径が分かれている。行場への径は、ガレた剣山の北斜面を巻いて降り、途中で古剱神社、蟻の塔わたり、三十五社、両剱神社、おくさり、不動の岩屋などを巡拝できる。一帯には、小説「天涯の花」で有名になった、キレンゲショウマが群生している。 | |
穴吹川源流域(13:09) |
一の森と二の森の鞍部(13:29) |
行場を過ぎると間もなく、穴吹川源流域の谷に出合う。剣山の頂上直下だというのに、豊富な水が流れている。広い頂稜が蓄えた雪解けの水に違いない。谷を渡り、トラバース径を上っていくと、稜線に出る。そこは一の森と二の森の鞍部で、一段高い所に新田次郎の追悼文が記された殉難碑が建っている。昭和40年(1965)3月16日、この地で剣山測候所技官、大谷好徳氏(当時37歳)が雪崩で遭難された。 | |
一の森山頂(13:37) |
一の森ヒュッテ(13:38) |
殉難碑のある鞍部から一息で一の森の頂上に着く。四周遮るものはなく、東四国山地の山なみを見はるかせる。とりわけ、西方にどっしりと肩を並べて横たわる剣山と次郎岌の姿が良い。1879.2mの三角点は頂稜の南端にある。東面の頂上下に一の森ヒュッテがある。美馬市営の山小屋で、収容人員50名、管理人は内田忠宏さん。こよなく山を愛するとても穏やかな方とお見受けした。剣山地域シカ対策協議会の一員で、実態把握などに多大な貢献をしておられる。 | |
二の森の祠(14:10) |
剣山山頂の一等三角点(14:34) |
一の森から剣山にかけての稜線ピークは、二の森、経塚森と呼ばれている。鞍部から二の森までは貴重な遺伝資源、シコクシラベの樹林帯で、二の森の外れに小さな祠がある。後背の磐が神様なのかな。稜線漫歩して剣山の山頂に達す。かつて山頂は「平家の馬場」と呼ばれ、ミヤマクマザザを中心とする平坦な草原であったが、登山者に踏み荒らされ裸地化が進んだ。このため1993年から木道を設置する工事が進められ、2004年に山頂三角点周辺の登山道が木道化して、山頂の道はほぼ全てが木道になっている。 | |
剣山頂上ヒュッテと雲海荘(14:29) |
剣山本宮宝蔵石神社の磐座(14:30) |
頂上ヒュッテ本館は昭和30年、別館の雲海荘は昭和44年に開設。定員150名の風呂付の山小屋。ご主人の新居綱男さんは、小屋は奥さんと息子夫婦に任せて、専ら登山道の整備やパトロールなどに尽力されている。剣山本宮を構成する神社は、頂上付近に分布する石灰岩の巨石を信仰の対象としている。他に頂上と西島駅の間に御塔岩を御神体とした大剱神社がある。 | |
次郎岌(5/6 5:27) |
鹿の食害を受けたウラジロモミ(5:57) |
翌日は前日の好晴と打って変わって、小雨交じりの凄い風。4時50分、ヒュッテの女将さんと若奥さんに見送られて出発する。次郎岌に着いても風雨の衰える気配はなく、証拠写真を撮って先を急ぐ。丸山への上りに差し掛かるころから、鹿の樹皮食害が目に付くようになる。鹿の異常繁殖は日本全国で深刻な問題となっているが、この後、びっくりするような光景に出合う。 | |
丸石山頂(6:04) |
丸石避難小屋(6:24) |
丸石は、お椀を伏せたようなササ原の山で、四周遮るものがなく、とても展望の良い所であるが、この日はそれを望むべくもない。1683.8mの三等三角点がある。丸石を過ぎると、縦走路は樹林帯に入り、鹿の食害が一層顕著になる。あちこちに防護柵やネット巻きなどの対策が施されているが、焼け石に水である。丸石避難小屋は、丸石と高ノ瀬の中間、奥祖谷かずら橋分岐の手前に建っている。 | |
高ノ瀬(7:01) |
石立山分岐(7:22) |
丸石から1時間の予定が、15分早く高ノ瀬に着く。荒天のため休みなしで来たこともあるが、鹿の食害で縦走路にササがすっかりなくなったことが大きい。かつてこの辺りは身の丈を越すササに覆われていた。高ノ瀬の次のピーク(1738m)に中東山、石立山への分岐標識が立っている。このあたりもササが茂って難渋を極めたところであるが、枯れ去って当時の面影はどこにもない。 | |
平和丸(8:02) |
白髭避難小屋(8:21) |
立石山分岐から、すっかりササの草原に変わった縦走路をたどること40分、1700m峰に着く。平和丸と記されている。ここ平和丸と高ノ瀬にも三等三角点の標石がある。晴れていれば「さぞ素敵な稜線漫歩が楽しめることであろう」などと思いながら、霧雨の中を飛ばしていると、広い草原に出て、その端に白髪避難小屋が建っていた。中に入って小休止。素敵な山小屋だ。 | |
カヤハゲ(9:08) |
三嶺山頂(9:53) |
白髭山分岐から急坂を降り、鞍部を上り返した所がカヤハゲ(東熊山)。晴れていれば正面にトムラウシに似た三嶺の稜線が広がっているはず。標識の類は沢山あるが、山の呼名はどこを探してもない。カヤハゲからは、三嶺南面の急な尾根を登る。大岩まではそれなりの坂であるが、その先は結構な急坂。鎖がフィックスされている。頂上は猛烈な風で、視界ゼロ。1893.4mの二等三角点を証拠写真に収めて、早々に下山を開始した。 | |
三嶺ヒュッテ(10:32) |
ダケモミの丘(11:07) |
ササの草原も頂上池もほとんど見えない。三嶺ヒュッテに寄って、時間は早いが昼食にした。無人の避難小屋であるが、ヒュッテと呼ぶに相応しく、広くて綺麗な山小屋。女性二人連れの先客がおられた。ダケモミの丘まで降ってくると、煙ってはいるが、雨も風もなく静かなものである。ここは頂上との標高差が400mぐらいの丘陵で、呼名のとおりウラジロモミ(ダケモミ)が多い。 | |
平尾谷登山口(11:44) |
名頃猪牧場の猪豚?(12:16) |
ダケモミの丘の北斜面をトラバースして降っていくと、平尾谷登山口に出る。径は明るい巨樹の森の中を下っており、とても心地が良い。林道入口の200mぐらい手前にイノシシの牧場があった。無断で入らせてもらうと、ずいぶん沢山飼育されている。どう見ても、顔つきが野生のイノシシではない。いわゆる猪豚に違いない。 | |
名頃駐車場(12:25) |
名頃バス停(12:33) |
林道入口のゲートを出た所に、三嶺登山口名頃駐車場がある。徳島県側の三嶺登山基地になっており、立派な休憩所とトイレが整備されている。名頃駐車場から祖谷川を渡って、左に150mばかり行った所にバス停があった。見ノ越行きのバスは、1時間10分先。途中でも乗せてくれるというので、逡巡した挙句、歩くことにする。 | |
奥祖谷かずら橋(13:12) |
夫婦池(14:50) |
順調だった足取りも、奥祖谷かずら橋のバス停に着く頃にはヘロヘロ。ここでバスを待つことにする。時間まで、平家落人伝説が残る秘境・奥祖谷の二重かずら橋を観光した。入場料500円也。やっぱりバスは良い。あっという間に見ノ越まで還って来る。が、宿まではまだまだ遠く、小雨が降る中をひたすら歩く。やっとたどり着いた夫婦池は、昨日と打って変わって雨に煙っていた。 | |
桑平堂のスギ(5/7 8:19) |
桑平のトチノキ(8:23) |
願いもむなしく、夜来の雨は明けても止む気配はない。矢筈山山行は断念して、巨樹めぐりに切り替える。R438、剣橋から約4.7㎞、桑平の第1ヘアピンカーブを越した所に標示看板がある。大杉は、樹齢推定500年、幹周り7.95m。大杉の少し下に、四国一の大きさを誇り、樹勢も旺盛なトチノキが立っている。こちらも樹齢推定500年、幹周り8.5mの巨樹である。こんな大きなトチノキを見るのは初めてだ。 | |
葛籠(つづら)のヒノキ(8:35) |
地蔵森のカゴノキ(8:58) |
R438、剣橋から約2.2㎞、つづら堂バス停から入る。葛籠堂から農道に入ってすぐの一段高い崖上に枝を無数に広げたヒノキが聳え立っている。樹齢推定500年、幹周り5.0m。根元に小祠があり、山の神が祀られている。R438、一宇支所から約5㎞、「ばあちゃん市」の先。カゴノキは株立ちの種に属し、3本含めて計測すると9.35mにもなる。主幹の幹周りは5.15m。このあたりは、地蔵森と呼ばれ、昔は交通の要所で人の往来が多くあったと云う。 | |
三嶺 夫婦池見ノ越間のR438より(5/6 11:35) |
次郎岌と剣山(手前) 一の森より(5/6 13:37) |
軌跡図 |
所要時間:139時間01分、歩行距離:35.7㎞ |